お客様の想いを包む―洋菓子店取材で学んだ“包材の大切さ”
食品包材通販の運営スタッフとして働いている私にとって、初めて洋菓子店を取材した日のことは、今でも鮮明に覚えています。
お伺いしたのは、東京のとある人気洋菓子店。店内に足を踏み入れると、温かみのあるオフホワイトを基調とした空間が広がり、その中に並ぶ美しいスイーツが目を引きました。店舗デザインや商品のディスプレイひとつひとつにオーナーシェフのこだわりが感じられ、緊張と期待で胸が高鳴った瞬間です。
特に印象的だったのは、シェフが語る“包材の重要性”でした。
包材は店の分身―オーナーの想い
取材中、シェフが何度も強調されていたのが、パティスリーにおける包材の役割についてでした。
“レストランでは料理が提供される空間まで演出できますが、パティスリーでは手渡す瞬間が最後の演出です。だからこそ、包材は店の分身であり、特別感を持たせたいんです。“
お菓子を引き立てるシンプルなデザインや高級感のある素材選びはもちろん、時短やコスト効率を考慮した工夫もされていました。
例えば、焼き菓子のギフト用に使われるパウンドケーキ型は、紙製でそのまま提供可能な仕様にすることで、包装紙の使用を省略。その分、手間やコストを大幅に削減できるとのことでした。また、既製品とオリジナルデザインを組み合わせることで、コストを抑えつつも独自性を損なわないように工夫している点にも感銘を受けました。
“既製品でもちょっとしたアイデアでオリジナリティを出せるんです。例えば、春限定の商品では花柄の既製箱を採用し、オリジナルリボンを合わせることで季節感と統一感を演出しました。“
さらに驚いたのは、異業種のカタログから包材のアイデアを取り入れている点です。
“アパレル業界のショッピングバッグには、質の高い素材やデザインが揃っています。焼き菓子用のトートバッグも、パティスリー向けカタログにはないデザインを見つけたくてアパレル向けのカタログを探しました。異業種に触れることで、発想の幅が広がるんですよね。“
シェフの語るエピソードからは、お客様一人ひとりの手元に届く瞬間までを見据えた丁寧な姿勢が伝わり、「包材は単なる包装ではなく、お菓子そのものを語る存在」だという考えが印象に残りました。
お客様の課題と学び
取材で特に心に残ったことは、小規模なお店だからこその課題でした。オリジナル包材を作りたいという要望はあっても、予算やロットの問題で断念せざるを得ないことも少なくないそうです。
“高いから無理と諦めるのではなく、一年を通じてのコストを見直せば意外と実現できることもありますよ。“
シェフは既製品とオーダー品を上手に組み合わせることで、コスト面の問題を解決していました。たとえば、焼き菓子の箱では内箱を1種類に固定し、外箱(スリーブ)を季節や用途ごとに変えることで汎用性を持たせています。さらに、中敷には特別な工夫を施し、1つで複数の用途に使えるデザインを実現していました。
“オーダー品は高いというイメージがありますが、工夫次第で結果的にコストを抑えられます。用途が広がれば、ロットも無駄にならないんです。“
こうした柔軟な発想は、異業種の包材を取り入れる姿勢からも伺えました。実際、アパレル業界のショッピングバッグを参考にし、既製品にはない素材やデザインを取り入れることで独自性を生み出しているそうです。お客様の課題に対し、ただ既製品を提供するだけでなく、新たな選択肢を提示する視点の重要性を感じました。
また、時短の工夫も目を見張るものがありました。
“包装紙を使わず、直接リボンやのしをかけることで手間を省いています。どうしても包装が必要な場合は透明フィルムで包んで対応します。少しの工夫で効率がぐっと上がるんですよね。“
包材の工夫ひとつで、手間やコスト、見た目の魅力までが大きく変わる――そんなシェフの柔軟な発想に、目から鱗が落ちる思いでした。
取材を通じて得た気づき
食品包材通販の仕事をしている私にとって、実際のお客様の声を聞く機会は貴重です。取材で、「包材が商品価値を高める重要な役割を担っている」ということを改めて実感しました。
例えば、既製品の箱に手を加えるアイデアや、包装紙を使わずリボンで特別感を演出する工夫など、少しの工夫でコストや手間を抑えながら、商品を魅力的に見せる方法を知ることができました。
包材は単なる“包装”ではなく、お客様の想いを届ける“ツール”です。包材が変わることでお菓子そのものの印象が変わる――それは商品の売上やブランドイメージにも直結する重要なポイントだと感じます。
さらに、異業種や他分野のアイデアを積極的に取り入れる姿勢も見習うべきだと感じました。他業界の包材やデザインから学び、自社でも提案の幅を広げていければ、お客様にとってより魅力的な選択肢を提供できると感じます。
商品選定・開発に活かす視点
取材を通じて得た学びを、私たち自身のサービスにも活かしていきたいと思いました。
お客様一人ひとりの課題を理解し、ニーズに合った商品を提案すること。例えば、既製品とオリジナルデザインを組み合わせた提案や、異業種のトレンドを取り入れたパッケージアイデアなど、これからの包材開発に取り入れていきたいと考えています。
また、小ロットで注文可能な既製品や、用途に合わせて使い回しができるデザインの包材を充実させることで、より多くのお客様の課題解決に寄与できるのではないかと感じています。
包材を通じてお客様のビジネスや商品価値を支える――その使命を改めて胸に刻みました。
お客様の想いを包む未来へ
お菓子の主役はもちろん、その味や見た目です。しかし、それを包む包材にもまた、作り手や贈り手の想いが詰まっています。
取材を通じて、包材が持つ可能性とその重要性を学ぶことができました。私たちも、お客様にとって「大切な商品を包む包材」を提供できるよう、日々の業務に活かしていきたいと思います。
包材を通じてお客様の想いを支える――そんなサービスをこれからも目指していきます。