イベント出店に最適な食品容器の選び方｜見た目・機能・コストまで徹底解説

お祭りやマルシェ、フードフェス、さらにはキッチンカーでの販売など、イベント出店を控える飲食事業者にとって「どんな食品容器を選ぶか」は、意外と大きな課題ではないでしょうか。

見た目や食べやすさはもちろん、コストや環境への配慮まで考えなければならない容器選び。適切な容器を選ぶことができれば、料理の魅力をより引き立て、お客様に「また買いたい」と思ってもらえる体験を提供できます。

逆に容器の選定を誤れば、せっかくの美味しいメニューの印象が損なわれてしまうことも。
本記事では、イベント出店で食品容器を選ぶ際に押さえておくべきポイントや、代表的な容器の種類、それぞれの特徴やコスト面での考え方までを分かりやすく解説します。
これからイベントへの出店を予定している方や、容器の見直しを検討している方にとって、役立つヒントになれば幸いです。

容器選びで押さえておくべき5つのポイント

イベント出店で使用する食品容器を選ぶ際、単にサイズや価格だけで決めてしまうと、現場で後悔することも少なくありません。
ここでは、事前にチェックしておきたい5つのポイントを紹介します。

食品との相性（耐熱・耐水・油対応）

まず最優先すべきは、販売するメニューとの相性です。
たとえば、熱々の唐揚げやラーメンなどを提供する場合は、耐熱性に優れた容器が必要ですし、汁気の多い料理には耐水性・防油性も求められます。
紙容器でも内側にラミネート加工が施されているものなら、こうした条件をクリアできます。

持ち運びやすさ・食べやすさ

来場者が片手で持って歩くシーンを想像すると、安定感や持ちやすい形状はとても重要です。
スリーブ付きのカップ型容器、手持ち用の取っ手が付いた容器など、食べ歩きを想定したデザインは好まれます。
また、スプーンやフォークを一緒に差し込める構造になっていると、より親切です。

デザイン性・ブランディング

容器は、ブランドの「顔」でもあります。
シンプルでナチュラルな素材を選ぶことでオーガニックな印象を出せたり、カラー印刷でロゴや店舗名を入れることで認知度アップにもつながります。
最近は、写真映えするおしゃれな容器に惹かれて購入するお客様も少なくありません。

環境への配慮（エコ素材の採用）

プラスチックごみ問題や脱炭素の流れを背景に、イベント主催者側から「環境配慮型容器」を指定されるケースも増えています。
紙やバガス（サトウキビの搾りかす）など、自然由来の素材を使った容器を選ぶことで、サステナブルな姿勢をアピールできます。

コストと在庫管理のしやすさ

イベントごとに容器を発注する場合、ロット数や納期、価格も大きな検討材料です。
過剰在庫にならないよう、できるだけ必要数に応じた発注ができる業者を選びたいところです。また、重ねて保管しやすいか、持ち運びしやすいかといった物流面の視点も重要です。

主な容器の種類と特徴

食品容器とひと口に言っても、その種類は非常に多岐にわたります。
ここでは、イベント出店でよく使われる代表的な容器のタイプと、それぞれの特徴・用途について整理しておきましょう。

紙容器（カップ・ボウル型）

特徴：軽量で扱いやすく、リサイクル性の高い素材。
外側に印刷ができるため、ブランディングにも適しています。
内面に防水・防油加工がされているものは、カレーやスープ、ラーメンといった汁物にも対応可能です。

適したメニュー例：カレー、丼もの、スープ系、汁なしラーメン、サラダ

プラスチック容器（透明・耐熱タイプ）

特徴：透明度が高いため、内容物の見た目がよく伝わります。
レンジ対応の耐熱タイプなら、事前に温めてから提供するスタイルにも対応。
頑丈なので重ねやすく、運搬性にも優れています。

適したメニュー例：冷やし中華、スイーツ、フルーツ、温め直し可能な麺類や惣菜

バガス容器（エコ素材）

特徴：サトウキビの搾りかすから作られた非木材系のエコ素材。
見た目がナチュラルで、環境配慮型のイベントで好まれます。
油や水に強く、さまざまなメニューに対応できる汎用性の高さも魅力。

適したメニュー例：唐揚げ、タコライス、グリル料理、ベジ弁当

フードパック（使い捨て容器）

特徴：コストが安く、軽量で大量購入向き。
定番の透明なフタ付きタイプは、食品の見た目を引き立てながら、飛び散りや型崩れも防止してくれます。
安価な分、耐熱性や耐油性は限定的です。

適したメニュー例：焼きそば、たこ焼き、串もの、ポテトなど

紙皿・紙トレイ

特徴：簡単な盛り付けや立ち食い向き。
リサイクルしやすく、持ち運びがしやすいため、フードフェスなどの短時間イベントに適しています。
ただし、汁気や油分には不向きなことがあるため注意が必要です。

適したメニュー例：パンケーキ、ホットドッグ、チュロス、軽食類

環境に配慮したエコ容器の選択肢

近年、イベント出店においても「環境への配慮」は無視できないテーマとなっています。
プラスチックごみに対する規制やSDGsの普及、さらには消費者の意識の変化により、エコ素材の容器を採用する店舗が増加しています。
ここでは、主な環境配慮型容器の素材とその特徴をご紹介します。

バガス（サトウキビの搾りかす）

バガス容器は、再生可能な植物由来の素材であるサトウキビの搾りかすを原料に作られたもの。
自然に還る生分解性があり、焼却しても有害物質が出にくいという特長があります。
見た目も温かみがあり、ナチュラルな雰囲気を演出できます。

メリット
・耐熱・耐油性が高く、幅広いメニューに対応
・脱プラ志向の強いイベントにも適応
・手触りが良く、見た目もおしゃれ

パルプモールド容器

古紙や未使用のパルプから作られた、紙素材を成形した容器です。
特にリサイクル性の高さや軽さ、通気性の良さが魅力です。
主にフタ付きボックス型のものが多く、弁当容器として人気です。

メリット
・再生資源を活用できる
・可燃ごみとして処理しやすい
・見た目がナチュラルで、ブランドイメージ向上に貢献

PLA（ポリ乳酸）やCPLA

トウモロコシなどの植物由来成分から作られるバイオプラスチック素材。
透明な容器やカトラリーに多く使われ、一定の耐熱性を持ちつつ、商業用コンポスト施設で分解が可能という性質を持っています。

メリット
・見た目がプラスチックに近く、食品の視認性が高い
・石油由来のプラスチック削減に貢献
・自然由来で安全性が高い

FSC®認証の紙容器

森林管理の国際認証制度「FSC®」を取得している紙容器は、持続可能な森林資源の利用を証明するもので、環境や社会的責任を果たす取り組みの一環として導入が進んでいます。

メリット
・企業としての信頼性を高める
・エシカル志向の顧客に響く
・多くの種類・形状があり汎用性が高い

このように、エコ容器の選択は単なる「イメージアップ」だけでなく、環境配慮が求められる時代において「出店条件を満たす」ための必須要素にもなりつつあります。
特に自治体や主催者が独自のルールを設けている場合もあるため、事前の確認と、適切な素材選びがカギとなります。

費用対効果とコストバランスを考慮しよう

イベント出店では、売上を最大化することがもちろん重要ですが、そのためには「コストをどこにどうかけるか」の見極めも欠かせません。
食品容器は一見すると小さなコストに思えるかもしれませんが、1個あたり数円〜数十円の差が、最終的には利益に大きく響いてきます。

容器の単価だけで判断しない

安価な容器を使えばコストは下げられますが、それによって料理の見栄えが損なわれたり、食べにくくなってしまっては逆効果です。
逆に、少し高価な容器であっても、写真映えしてSNSで拡散されたり、お客様の満足度が上がってリピートにつながるのであれば、それは「費用対効果の高い投資」といえるでしょう。

「高い＝無駄」ではなく、「高くても価値があるか」を見極めることが大切です。

運用面も含めたコストを意識する

たとえば、容器がスタッキング（積み重ね）しやすい形状であれば、運搬時のスペース効率が良くなり、配送コストや保管コストの削減にもつながります。
また、蓋が一体型になっていれば別売りの蓋を用意する必要がなく、手間や在庫管理のコストを抑えられる場合もあります。

イベント規模と販売数を予測する

容器選びは、販売量とのバランスが重要です。予測よりも売れ行きが良かった場合、容器が足りず販売機会を逃すことも。
逆に大量に仕入れすぎると、在庫を抱えてしまいコストを圧迫します。
小ロットから対応可能な業者を選んだり、同一形状で複数メニューに使い回せる容器を選定するなど、柔軟性を持たせた運用が求められます。

割引や業者の交渉も視野に

容器専門の仕入れ業者の中には、まとめ買いや継続発注による値引き制度を設けているところもあります。
また、「イベント出店向け」のニーズに合った商品を紹介してもらえる場合もあるため、信頼できる仕入れ先と長期的な関係を築くことも、コスト管理の面で非常に有効です。

まとめ～容器選びがイベント成功の鍵を握る

イベント出店において、料理の味や見た目と並んで、お客様の満足度を大きく左右するのが「食品容器の選定」です。適切な容器は、商品の魅力を引き立て“体験価値”を向上させる大きな武器になります。

料理との相性、食べやすさ、デザイン性、環境配慮、コストバランスと、考慮すべき要素は多いですが、それらを丁寧に見極めていくことで、容器は単なる「包装資材」から「売上を伸ばす仕組み」へと変わっていきます。

特に今の時代は、SNS映えやサステナビリティといった要素も、お客様の購買行動に直結します。容器選びをおろそかにすることは、商品力を半減させてしまうリスクを含んでいるといっても過言ではありません。

どんなに美味しい料理であっても、容器ひとつで“選ばれない商品”になってしまう可能性がある一方で、容器を工夫することで“つい手に取りたくなる商品”へと昇華させることもできるのです。

だからこそ、イベント出店を成功させたいと考えるのであれば、食品容器の選定には、ぜひ戦略的な視点を取り入れていただきたいと思います。

グッパ

ブログ担当　/　デザイナー

FacebookLINE

食品パッケージ物語のブログ担当者であり、通販サイト「グッパケ」のデザイナーです。 食べることが大好きで、日々美味しいものを求めています。 最近のトレンドはおにぎりです。