冷凍可能な食品容器とは?飲食店での活用メリットを解説
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食品パッケージカフェ
食品容器の選定は商品の印象やリピート率に直結する大事なポイントです。
そんな中、多くの事業者から支持を集めているのが「PP(ポリプロピレン)容器」です。
軽くて丈夫、しかも電子レンジにも対応可能なこの素材は、日常のあらゆるシーンで活躍しており、食品分野では特にその利便性とコストパフォーマンスが評価されています。
この記事では、PP容器とはどんなものなのか、どのような特長があり、どういった場面で活用されているのかを中心に解説していきます。
PP容器とは、「ポリプロピレン」という合成樹脂を原料としたプラスチック容器のことです。軽量でありながら耐久性に優れており、食品包装や日用品、医療用資材など、さまざまな分野で広く活用されています。
中でも飲食業界においては、テイクアウト用やデリバリー用の容器として高い支持を受けている素材のひとつです。
その理由のひとつが「耐熱性」です。
PPは比較的高い耐熱温度を持ち、100℃前後の熱にも耐えられるため、電子レンジ対応の容器として重宝されています。
温かい料理をそのまま詰めて提供し、食べる直前にレンジで温めるといったシーンでも形が崩れにくく、内容物の品質を保ちやすいのです。
また、「化学的に安定している」点も重要です。
ポリプロピレンは食品との接触にも安心して使える素材として、安全性の高いプラスチックに分類されています。
揚げ物など油分の多い料理に対しても影響を受けにくく、におい移りや変形といったトラブルを抑えられます。
近年はプラスチックに対する環境負荷が話題にのぼることも多いですが、PPは単一素材であることからリサイクル適性も高く、分別処理のしやすさという観点でも一定の評価を受けています。
容器メーカーによっては、リサイクル素材を活用したPP容器の開発も進んでおり、今後ますます環境配慮型の製品が増えることが予想されます。
ポリプロピレン容器が選ばれる理由は、その多機能性にあります。
単に「食品が入る入れ物」という枠を超えて、調理や提供、持ち帰り、再加熱といった様々な工程をカバーできる万能性こそが、PP容器最大の魅力です。
ここでは、その代表的な特長を紹介していきます。
PP容器の最も大きな特長のひとつは、電子レンジでの加熱が可能であること。
お弁当やスープ類など温かい料理の提供に最適で、お客様がそのままレンジで温められる利便性は、リピーター獲得にもつながります。
また、容器が変形しにくいため、見た目や食感を損なう心配も少ないです。
揚げ物や炒め物など、油分を多く含むメニューにも強いのがPP容器です。
耐油性に優れており、油による劣化やベタつきが発生しにくいため、品質の安定性にもつながります。
例えば、唐揚げやフライドポテトをはじめとしたテイクアウトでも人気のある定番メニューと相性抜群です。
PPは非常に軽量な素材であるため、大量に仕入れても持ち運びや保管がしやすいというメリットがあります。
イベント出店やフードフェスなど、限られたスペースとスピードが求められるキッチンカー業態においては、この「軽さ」は作業効率を大きく左右します。
PP容器は、大量生産が可能でコストが抑えやすいことも魅力のひとつです。
耐久性や機能性を備えながら、比較的安価に仕入れられるため、原価率の管理が重要な飲食業において大きなメリットとなります。
仕入れルートによっては1枚あたり数円単位で購入できるケースもあり、特にスタートアップや個人事業主にとって強い味方になります。
PP容器には、汁漏れしにくいフタ付きタイプや、ヒンジタイプ(フタが一体化している形式)など、様々な仕様があります。
食材の保護だけでなく、見た目の良さや衛生面でも安心できる設計が多く、ブランドイメージの向上にもつながります。
PP容器の特長は理解したものの、「具体的にどんなメニューに向いているの?」という疑問をお持ちの方も多いかもしれません。
ここでは、キッチンカーや飲食店、スイーツ系ショップでの代表的な活用シーンを具体例とともに紹介します。
PP容器の耐熱性と密閉性は、温かい料理を提供するメニューと抜群の相性を誇ります。
カレーや焼肉弁当、中華系の炒め物を詰めても容器が柔らかくなりにくく、電子レンジでの温めも可能。
汁気が多少あってもフタ付きタイプでしっかり密閉できるため、配達やテイクアウト時の漏れリスクを軽減できます。
唐揚げやフライドポテト、アヒージョなどの油を多く含むスナック系メニューにもPP容器はぴったり。
耐油性が高いため、時間が経っても油がしみ出しにくく、手に取ったときのベタつきも抑えられます。
また、片手でも持ちやすいサイズのヒンジタイプ容器は、立ち食いやイベント販売にも最適です。
スープ類はテイクアウト時に最も容器の性能が問われるジャンルですが、厚手のPP容器+嵌合フタの組み合わせであれば、温度や漏れにも対応可能です。
豚汁やミネストローネ、さらには味噌汁などをキッチンカーで提供する際にも安心して使えます。
冷凍耐性を備えたタイプを選べば、冷凍スープの販売にも応用できます。
PP容器はスイーツ業態でも活躍しています。
透明感のあるタイプや、おしゃれなカップ型のPP容器を使えば、プリンやゼリー、タピオカドリンクなどのビジュアル訴求にも対応可能。
食品衛生的にも安全性が高いため、直接デザートを充填してそのまま提供・販売することができます。
容器選びにおいて、PP(ポリプロピレン)以外にも多くの素材が候補に挙がります。
PETやPS、紙、バガスといった素材もよく使われており、それぞれに一長一短があります。
ここでは、PP容器とその他の代表的な素材との違いを比較しながら、その位置づけを明確にしていきます。
PETは主に冷たい食品や飲料用の容器に使われます。
透明度が高く、見た目の美しさが魅力ですが、耐熱性に乏しく電子レンジ加熱には不向きです。
その点、PP容器は加熱に強いため、温かい料理やレンジ対応が必要なシーンではPPに軍配が上がります。
例:
・PET → サラダ容器、ドリンクカップ
・PP → 弁当容器、温スープ容器
PSは軽量で成形がしやすく、コストも低いため、使い捨て容器としては非常に安価です。
ただし、熱に弱く割れやすいという弱点があります。
見た目はPPに似ていても、耐熱性や強度の面で劣るため、長時間の使用や加熱には不向きです。
例:
・PS → 即席ラーメンの容器、安価なテイクアウト皿
・PP → ヒンジ容器、レンジ加熱可能なフード容器
環境配慮を前面に出したい店舗では、紙容器やサトウキビの搾りかすを原料とした「バガス容器」が選ばれることもあります。
これらは自然由来の素材であるため、焼却時のCO₂排出量が少なく、SDGsや脱プラの観点で評価されています。
ただし、水分や油分にはやや弱く、食品の種類によっては変形や漏れのリスクも。
コストもやや高めで、実用性と価格のバランスを取る必要があります。
PP容器は、「使いやすさ」「低価格」「耐熱・耐油性」のバランスが非常に取れている素材といえるでしょう。
例:
・紙・バガス → サステナブルなイベント向け、ナチュラル系カフェ
・PP → 大量提供が必要な飲食業態、コスト重視の現場
PP(ポリプロピレン)容器は多機能で汎用性の高い素材ですが、実際に選定する際には「どれでもいい」というわけにはいきません。
用途や提供スタイルに合わせて、適切な形状や仕様を選ぶことで、より効率的かつ魅力的な商品提供が可能になります。
ここでは、PP容器を選ぶうえでの具体的なチェックポイントをご紹介します。
まず重要なのが、メニューに合った容量とサイズを選ぶことです。
たとえば、スープには深型タイプ、丼ものには浅めで広口のものが適しています。
デザート用であれば100〜200ml程度のミニサイズが映えやすく、ワンプレートランチなどには仕切り付きの大容量タイプが便利です。
【ポイント】
・提供する料理の量とバランスを考慮
・サイズが大きすぎると中身が少なく見えることもあるため注意
PP容器には、別体型のフタと一体型(ヒンジタイプ)の2種類があります。
別体型は密閉性に優れており、汁漏れを防ぎたいスープ類に最適。
一方、ヒンジタイプは片手で開閉できる利便性が魅力で、テイクアウトでの回転率アップにもつながります。
【ポイント】
・配達や持ち帰りの際は「密閉性」を重視
・イベント出店やカジュアル提供では「開けやすさ・提供スピード」も重要
「電子レンジ対応か」「冷凍保存が可能か」といった使用環境の適応性も必ず確認したい項目です。
特に再加熱を前提とした料理を提供する場合、耐熱温度の記載が明確な容器を選ぶことが肝心です。
【ポイント】
・PP素材でも一部の製品は冷凍不可なものがある
・耐熱表記(例:耐熱温度120℃)を要チェック
最近では、透明感のあるPP素材やカラー付きのもの、ロゴ印刷ができるものなどデザイン性に富んだ容器も多く流通しています。
おしゃれな容器はSNS映えにもつながり、店舗ブランディングを高める有効なツールになります。
【ポイント】
・中身が見える透明タイプはデザートや彩り弁当に最適
・ブランドロゴ入り容器で差別化を図るのも◎
ここまで、PP(ポリプロピレン)容器の基本情報や特長、使いどころ、他素材との比較、選ぶ際のチェックポイントまで解説してきました。
PP容器がどんな事業者に適しているのかを改めて整理しておきましょう。
・高コスパで機能性を両立したい方
PP容器は、機能性と価格のバランスが抜群に優れた容器です。
大量購入すれば1個あたりの単価は数円台に抑えられながらも、電子レンジ対応や耐油性といった基本性能はしっかり確保されています。
食材にかける原価を大事にしたい中小規模の事業者には、まさに理想的な選択肢です。
・キッチンカー・屋台など、スピード提供が求められる業態
ヒンジタイプや軽量設計のPP容器は、片手でサッと渡せる提供の速さを実現します。
イベント出店やランチタイムのピーク時など、一秒が売上に直結するシーンでは、その使いやすさが強い武器になります。
・温かい料理をそのまま提供したい飲食店
電子レンジ対応可能なPP容器は、スープや煮物、炒め物といった温度が命の料理にも対応。
レンジでの再加熱もOKなので、テイクアウトやデリバリーでも品質の再現性を高く保てます。
・容器選びで迷っている開業準備中の方
どんな料理を提供するかが決まっていても、それに合う容器を選ぶのは意外と難しいもの。
そんなとき、まず試してみるべき基本形としてPP容器は非常におすすめです。
とくに最初のうちは、「価格」「使いやすさ」「対応力」の3点を満たすPP容器を軸に、必要に応じて他素材も検討するというアプローチが堅実です。
PP容器は、見た目以上に働き者な存在です。単なる容器ではなく、あなたのお店の料理を引き立て、ブランドを伝えるパートナーとして、ぜひ活用してみてください。
賢く選べば、コストも手間も、しっかり味方につけられます。