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PET容器のメリット・デメリットとは?採用前に知っておきたい基礎知識

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「容器」は単なる「中身を包むもの」ではなく、商品の価値を高め、消費者との接点をつくる重要なツールです。なかでもPET容器は、軽さ・透明性・リサイクル性といったバランスの良さから、さまざまな分野で採用が進んでいます。

しかしながら、その利便性の裏にはいくつかの注意点や制約も存在します。
本記事では、PET容器のメリット・デメリット、導入時のチェックポイントまでを総合的に解説します。

PET容器とは?

PET容器とは、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate)という合成樹脂を素材としたプラスチック容器のことを指します。
略して「PET(ペット)」と呼ばれ、透明性や強度、軽さに優れていることから、私たちの身近な製品に広く使われています。

代表的な例としては、スーパーやコンビニで販売されている清涼飲料のボトルが挙げられますが、それだけでなく、食品、調味料、化粧品、洗剤、医薬品など、多岐にわたる分野で採用されています。

なぜPET容器が注目されているのか?

近年では、環境問題への対応やサステナビリティを意識した商品づくりが求められる中で、「リサイクルしやすいPET容器」に注目が集まっています。再生PET(再利用されたPET素材)を活用する取り組みも進んでおり、循環型社会を支える素材としての役割も担い始めています。

PET容器は、単なる使い捨てのプラスチックではなく、機能性と環境配慮のバランスを追求できる選択肢として、今後もさらに活用の幅が広がっていくことでしょう。

PET容器のメリット

PET容器は、その「使いやすさ」と「コストパフォーマンスの良さ」から、多くの事業者に選ばれてきました。
ここでは、PET容器を採用することで得られる代表的なメリットを6つに分けて紹介します。

軽量で取り扱いやすい

PET容器の大きな魅力は「軽さ」です。
たとえば同じ容量のガラス瓶と比べると圧倒的に軽量で、輸送コストの削減や作業負担の軽減に直結します。
物流面での効率化が図れるだけでなく、消費者にとっても「持ちやすく」「扱いやすい」ため、ユーザー満足度の向上にもつながります。

高い透明性で中身がよく見える

PET素材は非常に透明度が高く、内容物を外から確認しやすいという特徴があります。
これにより、品質の見える化や購買意欲の向上に貢献します。
食品や飲料などでは、見た目の美しさがそのまま商品の価値に直結するため、この視認性の高さは大きな武器となります。

成形自由度が高くデザインの幅が広い

PETは熱成形・ブロー成形に適しており、容器の形状を細かくカスタマイズできます。
グリップ付きの形状、独自の曲線、ブランドロゴの刻印など、デザインの自由度が高く、差別化された商品パッケージをつくることが可能です。
マーケティング戦略において、パッケージは商品の「顔」です。
ブランドイメージとマッチした容器設計がしやすいのも、PET容器の強みのひとつです。

リサイクルがしやすく環境配慮にも対応可能

日本国内ではPETボトルのリサイクル率が90%以上と非常に高く、再生PETの利用も進んでいます。
既存のリサイクルインフラが整っているため、環境負荷を軽減しやすく、SDGsやESG経営といったキーワードへの対応もスムーズに行えます。
さらに、リサイクルPETを活用した容器を使用することで、「環境配慮型製品」として消費者からの評価向上も期待できます。

コストパフォーマンスに優れる

PET容器は大量生産がしやすく、製造コストも安定して低いことから、コストパフォーマンスに非常に優れています。原材料費や成形工程の効率性により、他の素材(ガラス・金属・紙など)と比べても価格競争力が高い傾向があります。

とくに、低価格帯の商品や販路を広く持つ商材では、トータルコストの抑制が売上や利益率に大きく影響するため、PET容器は非常に実用的な選択肢となります。

PET容器のデメリット

PET容器は多くのメリットを持つ一方で、素材特性や社会的背景からいくつかのデメリットも存在します。
これらを正しく理解することで、導入時のリスクを回避し、より効果的な活用が可能になります。

高温に弱く、熱変形のリスクがある

一般的なPET容器は耐熱性があまり高くありません。
熱湯を注いだり、電子レンジで加熱したりすると変形したり溶けてしまうことがあります。
そのため、ホットドリンクや加熱処理が必要な内容物には、耐熱PET(ヒートレジスタントPET)など特殊処理を施した素材を使用する必要があります。
用途によっては通常のPETでは対応できない場面があるため、あらかじめ使用条件を明確にしておくことが重要です。

酸素や光に対するバリア性が低い

PET素材はある程度の密閉性はあるものの、酸素や紫外線を完全に遮断することはできません。そのため、酸化に弱い食品、光で成分が分解しやすい薬品・化粧品などには不向きな場合があります。

こうした製品では、多層構造の容器やアルミ蒸着フィルムなどのバリア性を強化した工夫が必要となり、結果としてコストや製造工程が複雑化することもあります。

耐久性では金属やガラスに劣る

PET容器は落としても割れにくい一方で、衝撃や圧力に長時間さらされると変形や破損の恐れがあります。
また、長期保存を前提とする場合には、素材の経年劣化や形状の安定性に不安が残ることもあります。

高級感を求められる商品や、高温多湿な環境下での保管が必要な商品では、ガラスや金属といった他素材の方が適している場合もあります。

環境配慮が求められる時代背景では誤解されやすい

PET容器はリサイクル可能な素材ですが、「プラスチック=環境に悪い」という固定観念を持つ消費者は少なくありません。リサイクルの仕組みが整っていることを理解している人は一部に限られ、特に若年層や意識の高い層においては、「脱プラ」への支持が強くなっています。

そのため、環境配慮を強調したい場合には、再生PETの使用比率やリサイクルマークの明示など、企業としての姿勢を可視化する努力が必要になります。

原材料価格や規制の影響を受けやすい

PETは石油由来のプラスチックであるため、原油価格の高騰や地政学的リスクの影響を受けやすい素材です。また、プラスチック削減に向けた国内外の法規制の強化により、将来的にはPET素材の使用制限や課税対象となる可能性も否定できません。

こうした中長期的な不確実性を踏まえた上で、代替素材との比較や、サステナブルな容器設計への移行も検討する必要があるでしょう。

PET容器の選定ポイントと注意点

PET容器を導入する際には、単に「軽くて安いから」といった理由だけで選んでしまうと、商品やブランドとのミスマッチが生じることもあります。
ここでは、PET容器を採用するうえでの選定基準や、事前に確認しておきたいポイントを紹介します。

内容物との相性を必ずチェックする

最初に考えるべきは、中身との相性です。たとえば以下のような条件をチェックしましょう。

酸化しやすい商品 → 酸素バリア性が高い素材か
光に弱い成分を含む → 遮光性のあるPETや加工が必要か
高温充填が必要 → 耐熱PETを使用する必要があるか
粘性がある液体 → 吐出性・注ぎやすさを考慮した設計か
内容物の物理的・化学的特性に適した容器を選ばないと、変質や漏れ、クレームにつながるリスクがあります。

容量・形状・キャップ仕様を用途に合わせて選ぶ

PET容器は成形自由度が高い分、容量・形状・口径の選択肢が非常に豊富です。
選定にあたっては、以下のような視点が重要です。

容量:使用シーンに合わせて、100ml・500ml・1Lなど適切なサイズを
形状:棚に並べた際の安定性や視認性を意識
キャップ:ワンタッチキャップ、スクリューキャップ、チャイルドロックなど
また、詰め替え需要のある商品であれば、リフィル対応の設計も検討対象になります。

製造・充填ラインとの適合性を確認する

容器を変えることで、充填機や搬送設備の調整が必要になるケースもあります。
特に既存ラインに新しい形状のPET容器を導入する際は、以下のような確認が必要です。

・容器の高さ・幅がラインに合っているか
・熱充填や殺菌処理との整合性
・容器の収縮・変形のリスク


場合によっては、新しい金型やライン改造が必要になるため、導入コストやリードタイムも踏まえた設計が欠かせません。

環境表示・ラベル設計も重要な検討要素

PET容器の環境配慮を伝えるには、表示やラベル設計も工夫すべきポイントです。
たとえば、

・再生PET使用率やリサイクルマークの明示
・ラベルレス・帯ラベルなど、分別しやすい設計
・印刷インキや糊の剥離性など、リサイクル適合性


消費者の環境意識が高まっている現在、「見せ方」まで含めてトータルでの設計が求められています。

取引先・充填業者との連携体制を確認する

最後に忘れてはならないのが、取引先との連携です。
PET容器の調達や充填を外部に委託する場合は、以下の点を事前にすり合わせておくことが望ましいです。

・取引先が使用可能なPET素材・形状
・最小ロット数や納期、在庫対応
・環境認証や品質管理の基準


特にOEMやPB商品の場合は、相手先の生産体制や制約がボトルネックになることもあるため、早い段階からの情報共有が成功のカギとなります。

まとめ~総合的な判断が欠かせない

PET容器は、その軽量性・透明性・コスト効率・リサイクル性など、現代のものづくりにおいて非常に優れたパッケージ素材のひとつです。
飲料をはじめ、食品、化粧品、医薬品といったさまざまな業界で活用されており、その汎用性の高さは他の素材にはない強みです。

一方で、耐熱性やバリア性に限界があること、そして近年の環境配慮の視点からは、「プラスチックであること」への社会的な評価にも十分注意が必要です。
さらに、原材料価格の変動や法規制といった外部要因も無視できません。

だからこそ、PET容器を選定する際は、商品との相性だけでなく、製造工程や環境対応、ブランド戦略までを視野に入れた“総合的な判断”が欠かせません。

・どんな製品に使うのか?
・どこで売るのか?
・どう見せたいのか?
・消費者にどんな価値を届けたいのか?


こうした視点を持つことで、PET容器のポテンシャルを最大限に活かすことができるはずです。
容器は、単なる「包むもの」ではなく、商品の世界観や企業姿勢を伝えるメッセンジャーでもあります。
ABOUT ME
グッパ
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ブログ担当 / デザイナー
食品パッケージ物語のブログ担当者であり、通販サイト「グッパケ」のデザイナーです。 食べることが大好きで、日々美味しいものを求めています。 最近のトレンドはおにぎりです。
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