失敗しない使い捨てカップ容器の選び方|素材別の耐熱性を徹底比較!
テイクアウト需要の拡大、キッチンカー・イベント販売の増加により、使い捨てカップの用途は年々広がっています。しかし、それに伴って、「耐熱性の誤判断」によるトラブルも急増しています。
「ホットドリンクを入れたらカップが柔らかくなってしまった」
「電子レンジにかけたら底が溶けてこぼれた」
「透明のカップを使いたかったが、熱でフタが変形してクレームになった」
こうした問題の多くは、“素材ごとの特性や耐熱温度をしっかり理解できていないこと”によって発生します。使い捨てカップは一見シンプルなアイテムですが、素材が変わると耐熱性・透明性・強度・適した用途が大きく異なります。
本記事では、主要素材であるPET・PP・PS・PLA・紙カップの特徴と耐熱温度を徹底比較し、用途別のおすすめや、現場で頻発する失敗を防ぐためのポイントまで詳しく解説します。
使い捨てカップが抱えるトラブルと“耐熱性”の重要性

使い捨てカップは、飲食店のテイクアウトからオフィスの給茶機、イベント・催事、食品工場など、あらゆる場所で使われています。しかし、使用者の多くが軽視しがちな要素が 「耐熱性」 です。
特に飲食店では、次のようなトラブルが頻発します。
- 紙カップが薄く、持てないほど熱い
- PETカップにホットを入れてしまい変形
- PSコップをスープに使って歪んだ
- PPカップは耐熱だが、フタが別素材で溶けた
- 電子レンジ不可の商品を温め直してしまった
こうした事故は、単なる「容器選びミス」でありながら、顧客の不満・信用低下・スタッフの手間・追加コストなど、業務全体に大きな影響を及ぼします。
だからこそ、まず押さえるべきは素材ごとの性質と耐熱上限の理解です。事業者が間違えないための前提知識として、素材の違いを丁寧に整理していきます。
使い捨てカップ容器の主な素材と特徴

使い捨てカップに使われる5つの代表素材には、それぞれ明確な個性があります。「どれも同じプラカップ」という認識では不十分で、素材理解こそが安全なカップ選びの第一歩となります。
PET(ペット)
PETは透明度が非常に高く、清涼感のある見た目が魅力です。アイスコーヒー、アイスティー、ジュース、炭酸ドリンクなど、冷たい飲料を美しく見せたい場合に最適です。
しかし耐熱温度は わずか60〜70℃程度。
熱い飲み物を注ぐと、カップが柔らかくなり変形したり、最悪の場合は破損することもあります。透明ホットカップとしてPETを選ぶのは完全にNGです。
PP(ポリプロピレン)
PPは素材の中で最も耐熱性が高く、100〜120℃の高温に対応できます。電子レンジ対応の製品も多く、あらゆる熱い飲料や食品に適しています。
- ホットコーヒー
- 紅茶
- スープ
- 味噌汁
- ホットミルク
など、ほぼあらゆるホット用途に対応できます。透明度はPETほどではありませんが、ホット用の透明PPカップも普及しています。
PS(ポリスチレン)
PSは軽量でコストに優れ、イベント・試飲会など大量に使う場面で人気があります。ただし耐熱はPPに比べて弱く、70〜90℃が限界。
熱湯を注ぐと変形するリスクが高く、温度の不安定なスープなどには不向きです。
PLA(生分解性プラスチック)
PLAは植物由来のバイオマス素材で、環境配慮の観点から注目されています。透明度は比較的高く、見た目も良い点が魅力です。
ただし耐熱温度は45〜55℃と極めて低く、常温〜冷たい飲料に限定されます。ホット用途は原則不可です。
紙カップ(PE/PLAコート)
紙カップはホット飲料の定番。断熱構造や二重カップなども選べ、高温での安定性に優れています。
- コーヒー
- カフェラテ
- 紅茶
- ホットミルク
などに最適です。一方で水分によって劣化するため、長時間の使用には注意が必要です。
素材別|耐熱温度と適した用途の比較

素材の違いを数字で比較することで、用途に合うかどうかを判断しやすくなります。
耐熱温度比較
| 素材 | 耐熱温度 | 使用の目安 |
|---|---|---|
| PET | 60〜70℃ | アイスドリンク |
| PP | 100〜120℃ | コーヒー・スープ・電子レンジ |
| PS | 70〜90℃ | ぬるめのホット |
| PLA | 45〜55℃ | 冷飲料限定 |
| 紙 | 90〜100℃ | ホット飲料全般 |
なぜ“耐熱ギリギリ”は危険なのか?
例えばPETの耐熱上限70℃は「70℃までは完全に安全」という意味ではありません。
例えば…
- 70℃に近い液体を注ぐ
→ 静置時は耐えるが、持ち上げた瞬間に変形 - PPは耐熱でも、フタがPS
→ フタが先に変形して液漏れ・クレームにつながる
実務ではこのような「想定外」が多いため、耐熱温度はあくまで目安と理解し、“余裕”のある素材選びが不可欠です。
用途別|シーンごとのおすすめカップ選び

ホットコーヒー・紅茶・カフェラテ
ホットメニューは耐熱性が何より重要です。
最適素材は次の通りです。
- 紙カップ(断熱/2層構造)
→ 持ちやすく、カフェの品質感を演出 - 耐熱PPカップ(透明感を出したい場合)
→ デザート系ラテやホットレモネードなどに好相性
紙カップは消費者の慣れもあり、温かいイメージを伝えやすいのが魅力です。
アイスコーヒー・アイスティー・ジュース
冷たい飲み物なら透明度が重要。
- PETカップが最適
→ 高透明でブランドの世界観を表現しやすい
→ 結露にも比較的強い
スムージー・フラッぺ・ジュースバー用途
- PETカップ
→ 強度・透明度に優れる - PLAカップ(エコ訴求が強い場合)
→ ただしホット完全NGなので温度管理が必須
スープ・味噌汁・高温メニュー
- PPカップ一択
→ 耐熱100℃以上、電子レンジ対応製品も多い
→ 高温液体を入れて運んでも変形しない信頼性が高い
フタもPP素材のシリーズで統一するのが鉄則です。
大量提供イベント(試飲・学園祭・地域イベント)
- PSカップ
→ コスト重視で短時間使用に最適 - 紙カップ
→ 安定感を求める場合の選択肢
エコ配慮型のブランド・SDGsを掲げたい店舗
- バイオマス配合PP
- PLAコート紙カップ
- PLAカップ
特に“自然派メニュー”とPLAの組み合わせは、ブランドストーリーづくりにも最適。
耐熱性を見極めるチェックポイント(失敗事例つき)

素材が選べても、運用上のミスによるトラブルは起きがちです。以下は現場で最も頻発する課題と対策です。
① 耐熱温度と耐冷温度を必ず事前確認
- PETは60℃前後で変形
- PLAは50℃以下で変形
- PSは熱湯禁止
- PPは高温に強いが、シリーズ外のフタはNG
提供温度(液体)+店舗環境(外気温)の組み合わせで変形リスクが変わります。
② 電子レンジ対応かどうかを明確に区別
PPでも「電子レンジ可」「電子レンジ不可」の両方が存在します。
- 底面のマーク
- メーカー仕様書
これらを必ず確認し、スタッフにも共有することが重要です。
③ カップとフタは必ず“同素材・同シリーズ”で使用
最も多い実務トラブル:
「カップは耐熱PPなのに、フタがPS製で変形して漏れた」
シリーズ外の組み合わせは密閉性が低く、こぼれ事故の大きな原因に。
④ 熱湯を注ぐと想定外の変形が起きる
耐熱温度はあくまで“指標”。
耐熱ギリギリの液体温度は危険です。
- PETに70℃前後 → 置いてる間は大丈夫でも、手で持った瞬間に歪む
- PSに80℃ → 薄くたわんでフタが浮く
⑤ スタッフ教育に必須のポイント
- どのドリンクをどのカップに入れるか
- 温度の基準
- 電子レンジ利用可否
- カップとフタの適合性チェック
現場でのヒューマンエラーを最小化するため、マニュアル化がおすすめです。
まとめ— 素材 × 耐熱性 × 用途を理解すれば失敗ゼロへ
使い捨てカップ選びの失敗は、「素材」「耐熱温度」「フタ」の3つを理解すればほぼ防げます。
- 提供温度は?
- 冷・温のどちらか?
- 電子レンジ利用はある?
- 見た目・透明度は必要?
- エコ素材を重視する?
これらを整理すれば、最適な素材は自然と決まります。
用途に合ったカップを使うことで、
クレーム削減・顧客満足度向上・スタッフの負担軽減を実現できます。
もし「商品のどれを選べばいいか迷う」という場合は、ぜひお気軽にご相談ください。


